1. |
まがいもの
01:12
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人に似た声を出すものと 過ごした記憶の
影絵のような 染みのような
薄く伸び 果てに消えてゆく
尻尾は掴めないが 網にはかかるだろう
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2. |
輪郭
02:00
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日曜 コーヒーを沸かす
ベランダに積もる雪を眺める
四つ並んだ白い膨らみはサンダル
わたしのと 君のだった
どっちが君ので どっちが私のだろう
君が育てきらなかった 鉢植えたちも
ネズミのペアの人形も
私達が過ごした跡ごと
ただの膨らみになればいい
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3. |
仮定法過去側
02:22
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朝日やスズメ等の鳴き声に 責められるようだ
早く起きなかった私のせい それは知っているけど
ノルマ処理かよ ゼリーを喉に流すだけの朝食
「まあこれでいいか」程度のメイクと 適当に掴んだ服
いつもの並木道 走りたくない
生活の舞台を ゆっくり味わいたい
あなたのように花を愛でたり
猫を撫でたりする余裕が欲しい
5分早く起きてれば 空いてる各駅に乗れたし
そっち側のわたしに嫉妬する事もなかった
5分早く起きた方の私に告ぐ
そっち側のあなたのように なれない私も認めてほしい
「遅刻をするよりはマシ」 そう言い聞かせてる
あっち側のあなたにしてみれば 私も羨ましいのだろう
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4. |
ゴーレムづくり
02:16
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爪なんて 要らないね
君の持ち運ぶものに
傷がついてしまったら 価格が下がるから
皮なんて 要らないね
君の熱は外へ逃がすべきで
蓄えてたら能率落ちるから
悩みも 要らないね
予期しない事が起きた時は
どう鳴くべきかも書いておいたから
私も 要らないね
他人が君を操るとしても
作業の質は変わらないから
仮に幸せが 定量化できるものだとして
君にとってのそれは 処理件数としよう
君に訪れる幸せは
私の幸せに含まれているの だから
君に倣い 継ぐ者たちも
枝葉となり 栄え続けますように
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5. |
フラットルーム
02:42
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新宿 午前4時
商業施設 地下2階
紙をめくる音 咳とクリックの音
退屈をかき混ぜ続けて 倦みきったクーラーの音
ドリンクバーに貼られたポスターを見て
腐りかけの情緒が少し揺れた
フリー素材 どこかの南国の写真
ああ そっか そう言えば夏だったんだっけ
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6. |
悲しい歌を
01:45
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悲しみを興すために 組まれる文字の
やがて訪れる終わりを 予期させる並び順
悲しみを囲うために 組まれる音の
和を乱しては正す 幅たちの規則
目覚めがあり 朽ちる肉体がある君は
比較できるらしいが
不死の私にも 理解できるように伝えてくれ
始まりも終わりも持たぬ 私を知り
君の感傷は より強く保証されるのだろう
上昇も下降もしない 価値を抱え
波に例えることもできない 私は不憫か?
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7. |
酔いと街路樹
01:20
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目に映る全ての葉が光るように見え やがて素面
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8. |
典型
01:14
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ベッドの隅で膝抱えて
世を恨んで叫ぶべきでしょうか
バットとか持って猫苛めて
母から奪った千円でタバコ吸うべきですか
字 荒れた字
それに加えて絵 不穏な絵
気遣う教師達を 振り払いますか
英検や漢検とか諦めるべきでしょうか
パン屋かトリマーが5才からの夢でしたが
この役を担う次の人が出るまでは
自暴自棄の正解をなぞるべきでしょうか
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9. |
ワゴンかオークション
02:16
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2002年 雑な寄せ集めの企画盤 22曲入り
マイアミベース その他 低音推しのカバー 集めたコンピ
市場価値は無いはず だけど
あの曲だけは君の中にしか入って無いんだ
もう無い レンタルショップの特殊シール 削れたホログラム
うち以外 落札する人は居ないだろう 信じて競るよ
行こう 日野市の君を愛しいと言おう
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10. |
NPC meets
03:17
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初期位置と乱数の導きで
初めて会った君も
彼が火山のイベントを終える頃には
もう居ないだろう
例えこの世が5MBに満たずとも
影は描画されている
太陽もあるのだろう
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11. |
漕ぎ手
01:31
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甲板の上の彼らと違い コンパスも海図も無いけれど
僕らは窓から差す日の傾きで指針を得る
僕らの心はひとつ
同じ動きを繰り返しているから
僕の食べたパンは この櫂を掴み廻す腕の力となり
僕の生きた時間は この芋と木箱らの航海距離へと変わる
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12. |
サーカス
02:22
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輪をくぐる虎に 飛び跳ねるピエロ
それぐらいしか 印象には
残らないサーカスだったけど
みんな楽しそうだった 笑ってた
それだけで 構わない
ああ 今日の記憶よ
明日からの私が
積む労働の 暗い記憶と
混ざりあって 薄めてほしい
挽いただけのコーヒーじゃなくて 少しは
ミルクと砂糖が入ったものを
とか そんな比喩を許して
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13. |
部屋
02:10
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もうここには 二度と来ないから
全ての形を 色を 匂いを 覚えていたい
瞼を閉じ 横になって
頭の周りの 閾を無くすよ
さよなら この壁
さよなら この床
私の代わりに 後は任せよう
もう明日の 部屋が現れ
家具の位置も 刷り込まれ始めたよ
もう昨日の 部屋は朧げ
せめてこの歌詞で 君の事を忘れないように
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14. |
whistle and wave
01:54
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波は
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